作:御十宙数
シナリオ情報
必要目安時間
2~3時間
今回予告
生者と死者の二人組は、記憶のない魂と出会う
ひとりを嫌う魂に、二人は助けの手を伸ばす
記憶を辿って見えた「過去」から
悲しい鎖の影が伸び……
人霊共鳴RPGキズナイト「張り巡る鎖」
絆の糸で、鎖を断ち切れ!
ハンドアウト(共通)
君たちは、絆糸で結ばれた双魂だ。ある日君たちは「フー」と名乗る記憶のない【死者】と出会う。フーに頼まれた君たちは、彼の記憶を探すことに協力することになる。そんな中、【囚魂】となった【死者】が大量に確認されたと報告が入り……
NPC情報「フー」
【双魂】が道を歩いている際、たまたま出会った記憶のない【死者】。生前の記憶がないため、ただの【魂】の姿でさまよっている。記憶にあるのは「フー」という言葉のみらしく、自分のことをそう名乗る。自分の姿を見ることが出来たPCたちに助けを求め、自身の記憶を探してほしいと頼む。
言動は幼い少年のもののように聞こえ、性格は素直だが好奇心旺盛。
プリプレイ
セッションの当日に参加するメンバーが揃ったら、まずはシナリオを遊ぶための準備を行ないます。詳細はセッションの流れを参照してください。
キズナイトの解説
キズナイトを初めて遊ぶ参加者がいる場合、GMは最初にキズナイトがどのようなゲームなのかを解説しましょう。以下のような大まかな内容で構いません。
GM:人霊共鳴RPGキズナイトとは、この世に生きている【生者】と、幽霊である【死者】が、【絆糸】と呼ばれる【魂】の糸で互いの【魂】を結びつけ、一蓮托生の二人組【双魂】となって、互いを助け合ったり、悪霊や霊能力者などに立ち向かったりする物語を体感するTRPGです。
シナリオ情報の提示
GMはPLにシナリオ情報を公開してください。シナリオ情報は必要目安時間、今回予告、ハンドアウト、NPC情報の4つで構成されています。
必要目安時間は、これから遊ぶシナリオがだいたいどれくらいの時間で終わるかを示したものです。
今回予告は、これから遊ぶシナリオがどのような雰囲気の内容であるかを伝えるものです。
ハンドアウトは、シナリオに参加するPCの立場や背景などが指定されています。
NPC情報は、そのシナリオに登場するNPCがどのような性格で、どのような外見なのかなど設定を記述したものです。
PCの準備
開示された今回予告とハンドアウトを踏まえて、PLは、PCを準備することになります。GMは各PLに1枚ずつキャラクターシートを配ってください。PCの作成方法にはクイックスタートとコンストラクションの2種類があります。PLがキズナイトを初めて遊ぶ場合には、クイックスタートをおすすめします。
自己紹介
PCの準備が終わったら、GMとPLの自己紹介を行ないます。PLは自分自身とPCの自己紹介をそれぞれ行なってください。
PCの自己紹介では、PCの名前、生死、クラスなどキャラクターシートの項目をそれぞれ読み上げるとよいでしょう。
魂点表の準備
最後に、GMは、魂点表を用意し、【生者】のPCを表すコマを3のマスに、【死者】のPCを表すコマを11のマスに配置します。これをPCの初期配置と呼びます。
【魂点表】の準備が終わったら、プリプレイは終了です。メインプレイへと移ってください。
メインプレイ
日常パート
日常パートでは、PCたちが普段どのような日常生活を送っているかを演出します。詳しい演出の内容については、セッションの流れを参照してください。
【日常演出決定表】
1.【生者】の趣味・好きな活動に【死者】が付き合っている
2.【死者】の趣味・好きな活動に【生者】が付き合っている
3.【生者】の行きたいところにふたりで出かけている
4.【死者】の行きたいところにふたりで出かけている
5.【生者】の仕事・学業に【死者】が付き合っている
6.【双魂】として【鎖使い】と戦っている。
導入パート
導入パートでは、PCたちがどのようにして事件に関わることになるのか、またはその事件の発端を演出します。
今回のシナリオの場合、PCたちはたまたま「フー」と名乗る記憶のない【死者】と出会い、彼の記憶探しに協力することになります。
描写1
君たちは、とある日の夕方、どこかへ出かけた帰り道の途中、たまに通る交差点に差し掛かっていた。
するとそこに、困ったようにさまよう【死者】を見かける。その姿は珍しくただの【魂】で、普通の【死者】のように生前の姿を再現していなかった。
「うーん、やっぱりココになにかあるのかなあ……」
「おもい出せるような……おもい出せないような……」
君たちがその【魂】に話しかけると、【魂】は驚いたように君たちを見る。
「わあ、びっくりした!ぼくが見えるの?」
「よかった!ずっとひとりで、さみしかったんだよお!」
「えっと、なんだかへんだね……?ふたり、糸みたいなのでつながってる。それ、なに?」
「【そうこん】……なんだか分からないけど、すごい!」
「……えっと、ふたりは、何かすごいことができるんでしょ?」
「ぼくね、何かやらなきゃいけないことがあるのに、分からないんだ……」
「なんにも分からないんだよ、ぼくがなんなのかも……」
「おねがい!いっしょにさがして!このままずっとひとりはいやだ!」
「ぼくがおぼえてるのは、『フー』ってことばだけ。だから、ぼくのことは『フー』ってよんで!」
そういって、「フー」と名乗る【魂】は君たちについていく。君たちはフーに協力し、記憶探しに付き合うことになる。
探査パート
探査パートでは、PCたちが「フー」について探査を行なっていきます。探査パートの進め方については、こちらを参照してください。
ここで得た情報については、いつでも「フー」本人に伝えることができますが、記憶のない「フー」は心当たりがありつつもはっきりと思い出せない様子です。
初期情報項目
情報項目1「フーと出会った交差点」
手がかり:フーがいた交差点。フーが言うには、ここにいると何か思い出しそうな気がするということらしい。
真実:数か月前に、この交差点で交通事故が発生し、ひとりの男の子が亡くなっている。少年の名前は「鉄尾 風太(てつお ふうた)」。一緒に歩いていた母親がほんの一瞬目を離している隙に、歩いてきた野良猫を追って交差点に飛び出してしまったらしい。
新たに情報項目として、情報項目2「鉄尾 風太」を開示する。
この情報を開示した後、すぐに以下の「挿入描写1」が発生する。
挿入描写1
君たちが交差点の事故の情報を調べていると、【生者PC】の携帯電話に連絡が入る。【魂守衆】の「三鷹 梨乃」からのもののようだ。
「よかった、繋がった!聞こえる?【生者PC】くん(さん)!今、君たちの街の近くで【鎖事件】が起きてる!」
「目的は分からないけど、【囚魂】の【死者】たちが何人も街を飛び回ってる!おまけに、その数もどんどん増えてるみたいで……!」
「近くにいるなら、気を付けて!狙われる危険性がある!」
すると、君たちのすぐそばに、突然【憑鎖】の繋がれた【死者】が飛んできた。【死者】は君たちの後ろに隠れた「フー」を見ると、機械的な言動で喋りだす。
「コイツラハ【双魂】ニ【死者】……コイツラジャナイ……」
「ナラ、オマエモサガセ。ソレガ命令ダ……!」
そう言うと、【囚魂】はその【魂】から【憑鎖】を伸ばして「フー」に襲い掛かる。どうやら【鎖使い】から人を支配する力を分け与えられた【囚魂】のようだ。
ここでは、 【探査結糸術】でなくどれか一つ好きな【結糸術】を発動する必要がある。ボーナス、ペナルティについては「探査ルール」の通りとし、【結糸術】の効果は発動しない。
発動に成功すると襲い掛かってきた【囚魂】は【切離状態】になり解放され、 情報項目3「誰かを探す【囚魂】」を開示する。
追加情報項目
情報項目2「鉄尾 風太(てつお ふうた)」
手がかり:数か月前の交通事故で亡くなってしまった少年。近くの幼稚園に通っていたようだ。
真実:記憶を失ってしまった「フー」の正体。やんちゃな性格が災いし、幼くしてその生涯を終えてしまった。両親が数年前に離婚しており、母親の「鉄尾 凪(てつお なぎ)」と二人ぐらしで、母親からは「ふう」と呼ばれていた。数日前から、彼女は行方不明になっているらしい。
情報項目3「誰かを探す【囚魂】」
手がかり:【鎖使い】の指示で誰か【生者】を探しているらしい【死者】の【囚魂】。街をさまよいながら仲間を増やし、既に何十体にもなっているようだ。
真実:彼らを支配している【鎖使い】の名は「鉄尾 凪」。息子である風太が亡くなったことを受け入れられない彼女は、数日前【鎖使い】に覚醒。風太がどこかで生きていると信じて探し続けている。 無理に【囚魂】を増やし続けたため、既に暴走しかかっているようだ。 【囚魂】に下した命令は「生きている風太を探すこと」と「【死者】は仲間にして人手を増やすこと」。存在しない「生きている風太」を探す限り【囚魂】を増やし続けるだろう。現在は、事故現場の交差点周辺で風太を探しさ迷っている。
また、PCたちが【切離状態】にし解放した【死者】が【憑鎖】の欠片を落とす。ここから、鉄尾 凪の記憶が読み取れるだろう。
PCたちが【憑鎖】の欠片を調べると宣言した場合、 すぐに以下の「挿入描写2」が発生する。
挿入描写2 -鉄尾 凪の記憶-
声が聞こえる。憐れむような声だ。「可哀そうに」だとか「無理もない」だとか。「息子さんが亡くなってしまって」だとか。うるさい。うるさい。
あの子は死んでなんかいない。ただ、かくれんぼをしているだけだ。だって、あの子はかくれんぼが好きだったんだから。だって、あのほんの少し前まで、私と手を繋いでいたんだから。だから私が探さなくちゃ。何を言われたって、どんなことをしたって、私が探し出さなくちゃ。そしたら、そしたら……。
「あら、いい欲ねぇ。私にはちょっとよく分からない欲だけれど。それだけ強い欲なら合格よ。勧誘なんて柄じゃないけれど、ちょっとぐらいお仕事しなくちゃね」
声が聞こえた。楽しむような声だ。顔を上げると見知らぬ女性がいた。ボロボロの私を見ても表情一つ変えずにっこり笑って、そこには、憐みも何もなかった。
「その欲、もっと上手に使わせてあげるわ。幽霊ちゃんたちを使えば、きっとあなたの探し物だって見つかる、見つけられる」
「ほら、見えるはずよ。あなたの【魂】から伸びる『鎖』が。うまく使って伸ばし続ければ、息子さんの元にだってたどり着くわ。多分ね」
「私の名前は小堺 刹那。【ブリーダー】の【鎖使い】よ。そして……今からあなたもそうなるの」
そして、私は【鎖使い】となり……ふうは今も、見つからない。
戦闘パート
戦闘パートでは、PCたちが鉄尾 凪と戦闘を行ないます。戦闘に入る前に、以下の描写を読み上げてください。詳しい戦闘ルールについては、こちらを参照してください。
描写1
君たちが「鉄尾 凪」を探して「フー」と出会った交差点の周囲を歩いていると、突然何体もの【死者】の【囚魂】が君たちの前を遮った。そして、その【囚魂】の後ろから、「鉄尾 凪」がゆっくりと歩いてくる。その姿は酷くやつれており、光を失った目からは、彼女が既に正気を失いかかっていることが見て取れた。
「あなたたち、知ってる……私の幽霊を一人解放した……【双魂】とか言う変な魂……」
「なんでよ?なんで邪魔するのよ……私はただ、あの子に会いたいだけなのに、なんで、なんで、なんで……」
「そう、あなたたちなのね。あなたたちがあの子を隠しているんだ」
「許さない、許さない許さない許さない許さない……!」
狂気に飲まれた表情で怨み事を唱え続ける彼女を見て、何か思い出したように見える「フー」は不安げに「お、かあさん……?」と呟く。しかしその声すらも、最早彼女には届かないようだ。彼女を正気に戻すには、【切離状態】にするほかない。
「皆が私に嘘を言うの……あの子が死んだなんて、嘘、嘘、嘘に決まってる!」
「あの子は、かくれんぼしてるだけ!こんな【死者】の中に、あの子がいる筈ないんだから!」
「こいつらにあの子を探させる!そしたら帰るの……『繋いで』帰るの……!」
「『手を繋いで』、一緒に帰るんだからぁ!!!」
それを見た「フー」は、苦し気にうめいた。
「ああ……そっか……ぼく、ぼく……!」
「【そうこん】さん、おねがい!あの人を……おかあさんを助けて!」
PCたちが演出を終えたら、戦闘に入ってください。
【鎖使い:鉄尾 凪】、【隠れ鬼の亡者】×2体、との戦闘となります。
ボスデータ
鎖使い:鉄尾 凪
生死:生者 初期配置:10
【行動決定表】
1 骸囚招覧 ―ガイシュウショウラン―
2D6を1回振り、出た出目と同じ数字のマスに【モブ:隠れ鬼の亡者】を1体配置する。
2 背死囚喚 ―ハイシシュウカン―
【モブ:隠れ鬼の亡者】を13のマスに2体配置する。
3 此岸拐魂 ―シガンカイコン―
生者のPCを下に3マス移動させる。
4 彼岸拐魂 ―ヒガンカイコン―
死者のPCを上に3マス移動させる。
5 怨鎖不滅 ―エンサフメツ―
自分が生者なら上に4マス、死者なら下に4マス移動させる。
6 脅軍深化 ―キョウグンシンカ―
モブ全員は、次の手番でPCを移動させるとき、同じ方向にさらに1マス追加で移動させる。
モブデータ
隠れ鬼の亡者
生死:死者 初期配置:12
【行動決定表】
1 現世引 ―ゲンセイン―
生者のPCを下に1マス移動させる。
2 幽世引 ―ユウセイン―
死者のPCを上に1マス移動させる。
3 留縛怨 ―リュウバクエン―
自分が生者なら上に2マス、死者なら下に2マス移動する。
4 留鎖怨 ―リュウサエン―
ボスが生者なら上に1マス、死者なら下に1マス移動させる。
5 呪牢陣 ―ジュロウジン―
2d6を振り、出た出目と同じ数字のマスを【特異点:祟り場】に変更する。
6 行動なし
終幕パート
終幕パートでは、物語の結末や後日談を演出します。
描写1
PCたちが戦闘で勝利したことにより、【囚魂】たちは次々に解放されていき、鉄尾 凪も正気を取り戻す。そこに、記憶を取り戻した風太が駆け寄っていった。
「おかあさん!」
そこで初めて、凪は目の前に風太がいることに気が付いた。【憑鎖】が全て壊れきるまでのほんの少しだけは、彼女にもまだ【死者】が見えるようだ。彼女は風太に寄り添うようにし、静かに涙を流した。
「……ああ…………ごめんね、お母さんがバカだったね……ふうはそこにいたのに、あんな顔見せて……怖かったね……怖い思い、させちゃったよね……」
「ちがうよ、おかあさん……!ぜんぶ、ぼくのせいで……あのときぼく、『手をつないでてね』って、言われてたのに……なのに……」
「だから……ぼく、ぼく、ごめんなさいって言いたかったんだ……」
「こわくなんかない、だって、おかあさんのこと、だいすきだもん……」
「ごめんなさい……だから、もう……なかないで、おかあさん……」
そうして、凪の【憑鎖】が全て壊れると同時に、呼応するように風太の体が薄くなっていく。風太はPCたちの方を見つめると、にっこり笑った。
「ありがとう、【そうこん】さんたち……ぼく、ちゃんとおかあさんに、ごめんなさいって言えた……」
「だから、ぼくもう、いかなくちゃいけないみたい……ほんとに、ありがとう……」
「ね、ぼくたち、また会えるかな……?」
そう言って、風太は【彼岸】へと消えていった。その後、凪は駆け付けた【魂守衆】に大人しく拘束される。
「ありがとう。あなたたちが私を正気に戻してくれたおかげで、私はあの子と話せました……本当に、ありがとうございました」
(その後の凪の処遇については、解決の功労者であるPCたちが【魂守衆】に進言すれば、大抵はその意向通りになるでしょう。)
描写2
事件からしばらく経った後、PCたちは鉄尾 凪に呼び出される。呼び出された場所に向かうと、そこには凪だけでなく、風太の姿もあった。風太は凪の頭上を楽し気に漂っており、その【魂】はたしかに【絆糸】で繋がれていた。
「えへへー、おどろいた?あのあと……えっと、なんかがんばってみたら、ぼくたちも【そうこん】になれたんだ!」
「これからは、ぼくがおかあさんをまもるんだよ!ふたりにだってまけない!」
「成り行きで、またふうと一緒にいられることになりましたけど……それでも、あの時のことは苦い記憶です……そして、忘れちゃいけない、大切な記憶……」
「私はふうを不注意で死なせて……自分も何もかも失うところだった……そして、あなたたちに助けられた」
「いずれまた、きっと、あなた達にも恩返しします。……ふうと一緒に」
場面を演出し終わったら、キリの良いところでメインプレイを終了し、アフタープレイへと移ってください。
アフタープレイ
アフタープレイでは、参加者全員でセッションを振り返り、終了するための処理を行ないます。詳しくは、こちらを参照してください。
アフレープレイを終えたらセッションは終了です。
お疲れさまでした!

